"群衆の心理" Hermann Broch 著
本書は、自伝の形をとっている。それは、生きた時代を実直に物語ったもの。ヘルマン・ブロッホの生きた時代とは、ヒトラーに象徴されるファシズムが台頭していく時代、群衆が熱狂していく中で世界が崩壊していく時代、宗教はもとより、形而上学も、哲学も、無力感に襲われる時代。こうした社会状況を「うつけた薄明状態」と形容する。まさに、人間社会は夢まぼろしのごとくなり!ブロッホは、群衆狂気論をぶちまけながら、民主主義と...
View Article"ロートレアモン全集" Isidore Lucien Ducasse 著
石井洋二郎氏のロートレアモン論(前記事)に触発され、彼の翻訳で「全集」を手に取る。本書には、「マルドロールの歌(全六歌)」と「ポエジー(I,...
View Article"ロートレアモン 越境と創造"石井洋二郎 著
ロートレアモンとは、どんな人物か。フランスの詩人でアルチュール・ランボーと並び称されるそうな。どんな人間にも、その生き様には生きた時代と生きた土地が刻印される。芸術家ならば尚更。但し、その名声が死後に訪れることはよくあること。今、「ロートレアモン全集」へ向かう衝動は抑えられそうにない。著者石井洋二郎氏の翻訳で...本名イジドール・デュカス。彼は、フランス人の移民を両親に持ち、南米の都市モンテビデオに...
View Article"「シュレーディンガーの猫」のパラドックスが解けた!"古澤明 著
これも、ブルーバックスの一冊。前々記事「量子テレポーテーション」、前記事「量子もつれとは何か」、そして、本書の三部作で一つの物語を成す。それは、存在の本質をめぐる物語である...「シュレーディンガーの猫」とは、波動方程式の解釈をめぐって提起されたパラドックス。まず、密閉した箱の中に、一匹の猫と放射性元素を入れる。放射性元素は、崩壊すると放射線が放出されて有毒ガスの入った瓶がわれ、そのために猫が死ぬと...
View Article"量子もつれとは何か"古澤明 著
前記事「量子テレポーテーション」では、量子力学を理解するためのキーワードに「量子の重ね合わせ」,「波束の収縮」,「量子エンタングルメント(もつれ)」の三つを挙げてくれた。本書は、その補足版といった位置づけで、「量子もつれ」に絞って物語ってくれる。量子の世界には、呪われた法則がある。不確定性原理ってヤツが...一つの量子の位置と運動量を同時に決定することは不可能!つまり、共役となる物理量を同時に正確に...
View Article"量子テレポーテーション"古澤明 著
久しぶりにブルーバックスを一冊...おいらが美少年だった時代、ブルーバックス教の信者であった。だが、脂ぎっちまった今、純真な好奇心の傾け方を思い出せずにいる。このシリーズの魅力は、なんといっても分かった気にさせてくれること。分かった気になるということが、いかに幸せであるか。同時に、いかに危険であるか。ある物理学者は言い放った。「量子力学がわかったと思ったら、それは量子力学を理解していない証拠である」...
View Article"人生について - 日記抄" Henri Frédéric Amiel 著
前記事にて、アンリ・フレデリック・アミエルの大作「日記」(全四巻)を味わった。その余韻に浸り、抄本版を手に取る。河野與一訳(岩波文庫)から土居寛之訳(白水社)へ、翻訳者が違うのも、なかなか乙。哲学者とは、世界中が酔いしれる中で、ただ一人さめている人をいうらしい...アミエルは自我を取り戻すために、苦悩、義務、意志が必要だと自分自身に言い聞かすように綴る。自我と非自我、汎神論と有神論、スピノザとライプ...
View Article"アミエルの日記(全四冊)" Henri Frédéric Amiel 著
アンリ・フレデリック・アミエルとえいば、やはり「日記」であろうか。しかし、これは日記というより告白の書、いや、彷徨の書と言うべきか。かの小説家の如く、ぼんやりとした不安を漏らしつつも、空虚な盲目の鬼ごっこ... 意地悪な運命の隠れんぼ......
View Article"道徳感情論(上/下)" Adam Smith 著
「人間がどんなに利己的なものと想定されうるにしても...」こう書き下ろすアダム・スミス。経済学の父と呼ばれる彼は、人間の本質に身を委ねる意義や自由な経済活動の意味といったものを論じて魅せる。尚、水田洋訳版(岩波文庫)を手に取る。後に、自由放任主義の礎となり、レッセフェール!や、神の見えざる手!といったスローガンに結びつけられるものの、そうした風潮に反発するかのように、自由で平等な個人の平和的共存は可...
View Article"経済学原理(上/下)" Thomas Robert Malthus 著
富とは、なんであろう...ありふれた言葉だけに、きちんと定義したものを見かけない。豊かさとも、ちと違う。物質的な豊かさと精神的な豊かさとを区別するなら、経済学が論じることのできる領域は前者ということになろうか。ただ、物質的な豊かさを精神的な豊かさで補うことはできても、その逆はできそうにない。結局、幸せとはなんであろう......
View Article"理論経済学の本質と主要内容(上/下)" Joseph A. Schumpeter 著
物事の本質を問えば、その素となるものを求める。哲学するとは、そういうことか。では、経済学にとっての素とは、なんであろう。本書は、「純粋経済学」という語を用い、「アプリオーリ」と「動学」という語をちりばめる。カントは、人間の純粋認識として、時間と空間の二つを挙げた。シュンペーターは、理論経済学の要素として土地、労働、資本は元より、財産の所有と権利といった帰属意識や価値観念を通して、価格理論、貨幣理論、...
View Article"ピュロン主義哲学の概要" Sextus Empiricus 著
真理の探求には、三つの立場があるという。それを見つけたと主張する者、それは永遠に見つけられないと主張する者、そして、結論を急がず、探求し続ける者とが...人間の認識能力が不完全であることを認めれば、客観的な考察までも疑問視する。常に悠然と構え、何事にも疑いの目を向ける態度は、巷では懐疑主義と呼ばれる。それは、探求と考察を継続することから探求主義とも、あるいは行き詰まり主義とも...この世には、判断を...
View Article"シンボルの哲学" Susanne Katherina Langer 著
人間の思考は、物事を象徴的に捉えるところがある。それは、どこに発するのか...最も顕著なものに、言語現象がある。それは音声に発し、記述の仕方を経て概念と化し、記号論や構文論に至る。言語は、人間が思考する上で極めて重要な役割を担う。それはコミュニケーション手段だけでなく、自己意識や存在認識などにも寄与し、おかげで、より多くの知識を得、学ぶ意欲を高める。その反面、欺瞞に惑わされ、感情が煽られることもしば...
View Article"マキャベリの名言"矢島みゆき 編訳
「君主論」に触れたのは十五年ほど前。そして、共和国に焦点を当てた「フィレンツェ史」やディスコルシこと「ローマ史論」にも触れてみたが、未だ消化不良!マキャベリの政治思想に少しでも近づけるよう名言集を手に取るも...名言の効用とはなんであろう。行動指針の一つに、言葉で説明できるか、ということがある。言葉は動機を明確にし、やるべきことも明らかにし、名言はそれを後押ししてくれる。「言葉で表現できる行動をせよ...
View Article"ローマ史論(全三巻)" Niccolò Machiavelli 著
「ディスコルシ」こと「ローマ史論」...ニッコロ・マキャヴェッリは、歴史家リウィウスの大作「ローマ建国史」から最初の十巻に着目し、政治論を論じて魅せる。「君主論」と補い合うように...古くプラトンは、著作「国家」の中で政治指導者に哲人を据えた理想像を描いた。だが、どんなに優れた政治指導者であろうと、これに続く者は愚人ども...マキャヴェッリは、著作「君主論」の中で政治に必要な力量と決断力を持つ君主像...
View Article"詩と認知" George P. Lakoff & Mark Turner 著
原題 "More Than Cool Reason: A Field Guide to Poetic...
View Article"認知意味論 - 言語から見た人間の心" George P. Lakoff 著
本書を分類すると、言語学ということになろうが、大枠では認知科学に属すらしい。認知科学とは、心理学、言語学、人類学、哲学、コンピュータ科学など多岐にわたって、人の心というものについて知見を統合する学問だという。言語学者ジョージ・レイコフは、こんな問い掛けから「経験的実在論」とやらを論じて魅せる。理性とは何か?それは、いかに意味づけられるか?理性が普遍的なものだとすれば、いかに体系化できるか?と...ま...
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