"絶望名人カフカの人生論" Franz Kafka 著
「将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。」翻訳者頭木弘樹が「絶望名人」と呼称する文豪カフカ。彼の日記や手紙には、自虐の言葉で埋め尽くされているという。名言といえば、この世には実に多くのポジティブな言葉が溢れている。確かに、ポジティブな言葉には人を励ます力がある。しかし、そんな言葉だけで人生を彩るに...
View Article"決定版 快読シェイクスピア"河合隼雄 &松岡和子 著
シェイクスピアを初めて体験したのは、おいらが美少年と呼ばれていた学生時代。貧乏大学生の演劇に嵌っていた記憶がかすかに蘇る。いずれまた挑戦してみたい!そう考え、考え... もう何十年が過ぎたであろう。いかんせん劇場で観たものを、小説で読むには勇気がいる。もう分かり切ったシナリオじゃないかぁ......
View Article"ハムレット" William Shakespeare 著
恥ずかしいことかもしれんが、おいらはシェイクスピアをまともに読んだことがない。劇場には何度か足を運んでいるものの。ただ、あまたの作品を遺しながら、これほど筋書きを知っている作家も珍しい。「ヴェニスの商人」、「マクベス」、「リア王」等々、そして、この「ハムレット」... 数々の名言を吐かせた作品の群れに大きな影を感じずにはいられない。ゲーテは、カントの作品をこう評した......
View Article"マクベス" William Shakespeare 著
シェイクスピア戯曲の四代悲劇に数えられる「マクベス」。こいつを知ったのは、黒澤映画「蜘蛛巣城」に出会ったおかげ。設定を日本の戦国時代に替えてはいるものの、まさに生き写しのような作品だ。黒澤映画の中で最も印象深く、終始怪しげな「蜘蛛手の森」の影が、本物語のキーワードの一つ「バーナムの森」と重なる。ただ、もう一つのキーワードの方は、この設定に投影するには、ちと難しいか...尚、福田恆存訳版(新潮文庫)を...
View Article"オセロー" William Shakespeare 著
シェイクスピアの四大悲劇に数えられる二つ、ハムレットの復讐劇とマクベスの野望劇に酔いしれれば、残りの二つに向かう衝動も抑えられそうにない。目の前で狂ったリア王が道化と一緒に手招きしてやがるし、おいらは暗示にかかりやすい...ただ、このオセロー物語だけは、筋書きを知らない。それに、ちと異質な感もある。他の三つの物語は、国家を揺るがす大事。比してこの物語は、一人の将軍の家庭内のいざこざ。スケールが違う。...
View Article"リア王" William Shakespeare 著
かの四大悲劇を、ハムレットの復讐劇、マクベスの野望劇、オセローの嫉妬劇と渡り歩けば、トリは老王の狂乱劇ときた。やはり歳は、トリたくないもんだ。シェイクスピアに魅せられると、人生ってやつがいかに悲劇の連続であるか、そして、道化を伴わず生きてゆくことの難しさ、そんなことを再認識させられる。老いてゆくには、苦難を笑う奥義を会得せねば...尚、福田恆存訳版(新潮文庫)を手に取る。「年寄りになるのは、智慧を貯...
View Article"代替医療解剖" Simon Singh & Edzard Ernst 著
著者サイモン・シンと翻訳者青木薫のコンビに触れるのは久しぶりで、「フェルマーの最終定理」、「暗号解読」、「宇宙創成」に続いて四冊目。共著者に名を連ねるエツァート・エルンストは、彼自身が代替医療に従事し、様々な治療法の有効性と安全性を検証してきた第一人者だそうな。尚、「代替医療解剖」は、文庫版に際して「代替医療のトリック」から改題されている。「トリック」ってやると皮肉めいたものを予感させるが、「解剖」...
View Article"素数の音楽" Marcus du Sautoy 著
数学は、音楽とすこぶる相性がいい...耳で感じる音律の概念は、オクターブの整数比で構成される。一つのオクターブを均等に十二分割したものは「十二平均律」と呼ばれ、「ドレミ」も、これに看取られている。十二音の組み合わせは、ざっと数えて 12! = 479,001,600...
View Article"奇跡の脳 - 脳科学者の脳が壊れたとき" Jill Bolte Taylor 著
ショパンの調べに乗せて、お決まりの TED.comを散歩していると、パワフルな脳科学者の Talk に出逢った。表題 "My stroke of insight..."stroke は脳卒中、stroke of ~...
View Article"現象学的心理学の系譜 人間科学としての心理学" Amedeo Giorgi 著
心理学は、科学であろうか。アメディオ・ジオルジは明言する。科学であると...原題 "Psychology as a Human...
View Article"タゴール詩集 ギーターンジャリ" Rabindranath Tagore 著
こいつには、救われる...BGM のように流れ去っていく文学作品とは、こういうものを言うのであろうか。フレーズそのものは頭に残らなくても、心地よさだけは確実に残る。読書に BGM は絶対に欠かせないが、だとしても、これほど BGM...
View Article"獄中からの手紙" Mohandas Karamchand Gandhi 著
実際主義の流れを汲む中に、ガンディーを嫌う人は思いのほか多い。歴史を振り返れば、理想主義が現実社会を破壊した事例はわんさとあるし、平和主義者の理念が国家主義者の横暴を許し、戦争を招き入れた事例も少なくない。「マハートマ(偉大なる魂)」の称号を持つこの人物はというと、確かに理想高すぎ感はある。が、夢想家と呼ぶ気にはなれない。「塩の行進」や「糸車で紡ぐ」などの日常生活に根ざした民衆運動は、近年の市民運動...
View Article初体験!国勢調査員... デジタル後進国のお祭りか!
なんであれ、初体験ってやつはワクワクさせるものがある。が、こいつは例外中のド例外!不合理、非効率、理不尽、ピント外れ......
View Article"ガンディーとタゴール"森本達雄 著
タゴールの詩集「ギーターンジャリ」に魅せられ、ガンディーの告白「獄中からの手紙」を突きつけれると、今度は、翻訳者の視点から描いたものに触れてみたい。この惚れっぽい衝動ときたら...暗い受難の時代というのは、偉大な人物を輩出するものらしい。英国帝国主義の植民地支配に抵抗したセポイの反乱が鎮圧されてから、インドとパキスタンの分離独立に至る激動の時代に、二つの巨星が舞い降りた。片や仏陀の再来と言われ、片や...
View ArticleWUuu... の呪い、WMP 蜂に刺され、ご愁傷様です!
やっと縁が切れた... とホットできるヤツがいる...ソフトウェアってやつは、愛着があって使い続ける分にはいいが、仕方なく惰性的に使っているものもある。ある種の依存症だ。しかも、標準という地位にあぐらをかき、デスクトップ内で奇妙な権威を持ち続ける。例えば、Edge は最初から眼中にないにしても、IE は未だ縁が切れないでいる。金融系サイトでは、IE + Java...
View Article"辞書を読む愉楽"柳瀬尚紀 著
いつも脇役を演じ、存在感も薄く、それでいて、すこぶる頼りになるヤツらがいる。百科事典に広辞苑、英和辞典に漢和辞典、科学用語事典に IT 用語辞典......
View Article"死父" Donald Barthelme 著
原題 "The Dead Father"...これに「死父」という怪しげなタイトルを与えたセンスはなかなか。直訳するだけでは芸がない。外国語と母国語の狭間でもがき、日本語にない日本語まで編みだす。翻訳家という仕事は、創造的な仕事のようである。そして、原作者ドナルド・バーセルミとの対談を仕掛ける。「あのう... ええと......
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