"人間・この劇的なるもの"福田恆存 著
人生とは、滑稽劇のようなもの。猿の仮面をかぶれば猿に、サラリーマンの仮面をかぶればサラリーマンに、エリートの仮面をかぶればエリートになりきり、セレブリティの仮面をかぶればセレブかぶれにもなる。あとは、幸運であればその流れに乗り、不運であればそれを糧とし、いかに達者を演じるか...人生なんてものは、得体の知れぬ実存なだけに、こいつに意味を求めずにはいられない。それで、人生の意味を見つけたと信じて優越感...
View Article"ホモ・ルーデンス - 人類文化と遊戯" Johan Huizinga 著
人類には、「ホモ・サピエンス」という呼び名がある。知恵ある人、賢者といった意味で...しかしそれは、人類に相応しい呼び名であろうか。金融アナリストが練りに練ったポートフォリオは、おサルさんのダーツ並とくれば、超エリートがこしらえた政策立案はことごとく裏目。ノーベル賞級の経済学者が国際規模の経済危機に陥れ、国家を代表する政治家が政治不信を増幅させる。そればかりか、教育家が教養を偏重させ、愛国者が敵対心...
View Article"専門家の予測はサルにも劣る" Dan Gardner 著
ダン・ガードナーという人は、なかなか挑発的なタイトルを掲げる。証券アナリストに対しても、似た表現を見かけるけど...しかし、賢い専門家もいる。健全な懐疑心を持ち合わせ、無知の原理を心得た専門家もいる。本書の対象は、メディアで露出度の高い専門家だ。有名になればなるほど予測が当てにならないとは、これいかに...はずしてばかりでは自然消滅しそうなもの。ところが、こと予測の世界ではそうはならない。自信満々に...
View Article"ビジョナリー・カンパニー ZERO" Jim Collins, William Lazier 著
「ビジョナリー・カンパニー」シリーズに出会ったのは、二十年以上前になろうか。「時代を超える生存の原則」、「飛躍の法則」、「自分の意志で...」と、いまだ本棚の隅っこで存在感を示してやがる。さすがに再読する気にはなれないが、ゼロを目にすれば回帰せずにはいられない。相変わらず、教訓めいたフレーズのオンパレード!今更感が漂いつつも、またもやジム・コリンズにしてやられる...尚、土方奈美訳版(日経BP)を手...
View Article"田園交響楽" André Gide 著
ベートーヴェンは、五つの楽章を通して田舎の風景を記した。「田園における楽しき心の目覚め」、「小川のほとりの景色」、「田舎人の歓会」、「雷雨、嵐」、「嵐のあとの喜びと感謝」と...こうした風景は、盲人にはどのように見えるのだろう。目が見えなければ色が分からない。だが、音楽には音色(ねいろ)というのがある。金管楽器、弦楽器、木管楽器......
View Article"狭き門" André Gide 著
ルカ伝第十三章二十四節、及び、マタイ伝第七章十三節に曰く...「力を尽くして狭き門より入れ。滅びにいたる門は大きく、その路は広く、之より入る者おおし。生命にいたる門は狭く、その路は細く、之を見いだす者すくなし。」父を早く亡くし、母の悲劇にも触れ、感受性を強めていく少年ジェローム。彼は叔母の家に身を寄せ、従姉妹アリサとジュリエットと一緒に過ごすことに。やがて年上のアリサに恋心を抱く。アリサもジェローム...
View Article"背徳者" André Gide 著
福音書に愛想を尽かされた人間の物語とは、こういうのを言うのであろうか...「狭き門より入れ!(前記事)」の訓示に逆らい、異常な情熱をもって学術研究に消磨してきた青年学者。彼が肺結核を患い、死の淵から蘇って見えてきたものとは...尚、川口篤訳版(岩波文庫)を手に取る。生きるということを、どう解釈するか。その答えを神学者に求めたところで、死後の世界を提示するだけ。天国に行きたければ......
View Article"闇に踊れ!" Stanley Ellin 著
原題 "The Dark Fantastic"... これを「闇に踊れ!」とする翻訳センスはなかなか。人間なんてものは、誰もが社会という名の闇で踊らされる、そんな存在やもしれん。スタンリイ・エリンといえば、短編「特別料理」の薄気味悪い後味が残ったまま。ここでも、死神に取り憑かれた不気味さを醸し出す。それにしても、これは本当に推理小説であろうか。うん~......
View Article"空白との契約" Stanley Ellin 著
ミステリーっぽくないミステリーで魅了する推理作家というのも珍しい。人間模様こそミステリーと言わんばかりに...しかし、ここでは一変して、ミステリーっぽいミステリーにしてやられる。スタンリイ・エリンという人は、やはり推理作家であったか...ある日、一人の男が自動車事故で死んだ。十万ドルの生命保険契約直後に。事故死であれば倍の二十万ドルが遺族に入る。これを自殺と見た私立探偵は、無名女優と夫婦役を演じて現...
View Article"近代人の誕生 - フランス民衆社会と習俗の文明化" Robert Muchembled 著
近代人とは何者か。それは、ひとつの理想像か。それとも、時代の人間像を映し出した表語に過ぎないのか。大酒を喰らって淫蕩に耽り、暴力と不潔の代名詞とされてきた民衆が、十五世紀から十八世紀の約四百年に渡って近代文明とやらを育んできた。歴史学者ロベール・ミュシャンブレッドは、人類の近代化に至る生い立ちを、フランスの民衆社会から紐解く...尚、石井洋二郎訳版(筑摩書房)を手に取る。「充分に意識していようといま...
View Article七年間の介護生活が終幕!ヤリ遂げた感とヤリ残した感が錯綜する中で...
関係者の方々へ感謝を込め、ここに記憶を刻む...介護地獄という形容がある。まさに地獄!とはいえ喜びも多々あり、そう捨てたもんじゃない。こうして仕事と両立しながらやって来れたのも、みなさんのおかげです!介護を論じれば、独り善がりな奮戦記となるは必定。介護とは、ひと言で言えば、日々気が狂いそうになる自分との闘い!いや、もう狂っちまったか。だから、こんなものを書いているのやもしれん。苦しかった七年間のはず...
View Articleスタートページを独自に...
ポータルサイトの乗り換えで、惚れっぽいおいらの移り気は激しい。iGoogle, My Yahoo!, Netvibes, iChrome... そして、chrome 拡張 ProductivityTab を愛用してきた。カスタム css で彩りながら。今、愛ある G さんや、M な Ya さんが懐かしい...さて最近、chrome の拡張機能にこんなメッセージが......
View Article"古い医術について 他八篇" Hippocrates 著
紺屋の白袴... という言葉がある。医学に従事する人とは、そうした人たちなのであろう。お医者さんだけではない。看護師さん、介護士さん、理学療法士さん、栄養士さん......
View Article"フーコーの振り子" Amir D. Aczel 著
どんな数学的証明よりも、どんな科学的論証よりも、説得力のある実験がある。まさに、見たまんま!それは、振り子の振動面がゆっくりと回転していく正弦則にあったとさ...尚、水谷淳訳版(早川書房)を手に取る。いまや地球が自転しているなんて常識中の常識。だが、これを証明するとなると、コペルニクス、ケプラー、デカルト、ガリレオ、ニュートンらを悩ませてきた。自己中心説から人間中心説、そして地球中心説を覆そうものな...
View Article"信頼性の高い推論 - 帰納と統計的学習理論" Gilbert Harman & Sanjeev Kulkarni 著
どの学問分野に分類すべきか、時折、そんな悩ましい書に出くわす。いや、分野に縛られない自由さこそ学問というものか。本書の由来は「学習理論と認識論」と題した講義にあるという。哲学、人文学、情報工学、統計学、認知科学などの学生を対象に。著者には、哲学研究の専門家ギルバート・ハーマンと情報科学の専門家サンジェーヴ・クルカルニの名が連なる。知的活動に文系も理系もあるまいが、あまりに学際的。認識論的な思考過程と...
View Article腕に新相棒、その名はアテッサ!人生をシンプルに刻む...
腕の相棒では、"SKAGEN SKW6106"や "KLASSE14 Volare Vintage Gold VO18VG004M"でヴィンテージ感に浸ってきた。北欧デンマーク発に南欧イタリア風味を加えて...新たに、国産でエレガント風味を加え、庶民のささやかな贅沢感に浸る。モノは、"CITIZEN ATTESA...
View Article"力学的な微分幾何"大森英樹 著
本書は、物理現象を数学で捉えようとする試み。それは、教科書や解説書といったものではなく、あくまでも副読本に位置づけたものだという。音楽でいえば、楽譜のようなものだとか。楽譜は演奏者に次のイメージを開かせるための補助手段に過ぎず、演奏者は読者に過ぎず......
View Article"THE MASTER ALGORITHM" Pedro Domingos 著
マスターアルゴリズムとは...それは、過去、現在、未来に渡るすべての知識を獲得できる万能学習器のこと。中でも重要なのは、未来に関する知識だ。人間の認識能力は時間の矢に幽閉されているのだから。いや、機械学習の次元では、そんなものに束縛されないのやもしれん...かつて計算機に仕事をさせるには、まず目的に適ったアルゴリズムを書き下ろし、それを計算機に喰わせるというのが定番であった。機械学習は、これとは違う...
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