"世界を変えた「海賊」の物語 - 海賊王ヘンリー・エヴリーとグローバル資本主義の誕生" Steven Johnson 著
海賊といえば、海上を荒らし回る無法者ども。彼らには陸地が、よほど居心地が悪いと見える。海賊にとって陸地とは、政治権力がのさばる呪われた地、あるいは、同調圧力のはびこる隷属社会といったところであろうか...海は地球の表面の 70%...
View Article"歴史を変えた 6 つの飲物 - ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラが語るもうひとつの世界史" Tom Standage 著
トム・スタンデージという人は、ちょいと風変わりな視点から歴史を物語ってくれる。それは、喉の乾きの物語。人体の三分の二は水からできており、水分の補給はそのまま死活問題となる。しかし人類は、文明の歩みとともに水以外の飲み物を発明してきた。文化の尺度に水質が挙げられるが、水以外の飲み物にも文化の成熟度が見て取れる。ここで注目する飲み物は、三つがアルコール、三つがカフェイン。ぞれぞれの出現に、農耕の始まり、...
View Article"作品は「作者」を語る"ソーントン不破直子, 内山加奈枝 編著
作品は誰のものか...人間の本能は、とかく所有の概念に敏感ときた。私のものは私のもの、あなたのものも私のもの。その対象は、物ばかりか人にまで及ぶ。ぼくの彼女に、あたいの彼氏に、はたまた、お前がこの場にいるのは俺のおかげだ!などと...その領域を侵そうものなら、恨み妬みの類いが襲いかかる。作品を購入すれば、所有権は購入者へ移り、その作品をどう解釈するかなんて、持ち主の勝手次第。作者が過去の人なら死人に...
View Article"百年の孤独" Gabriel Márquez 著
この手の書は、独り言を加速させやがる。シガー香る焼酎をチビチビやりながらでは、しゃあない。銘柄はもちろん、百年の孤独!心の中で自己陶酔に溺れ、肉体をも酔い潰す。孤独死の予兆か......
View Article"世界でもっとも正確な長さと重さの物語" Robert P. Crease 著
長さを測る。重さを量る。それは何を意味するのか。あらゆるものを計測する。それは単なる慣習か。あらゆるものの基準をつくる。それは人間の本性か...度量衡体系にも社会的な意味がある。相互理解をもたらす尺度として、価値や文化の共有、国際協調といった意識を高める上でも。それは、身体尺に始まったとさ...尚、吉田三知世訳版(日経BP社)を手に取る。身体に結びつく尺度では......
View Article"Visualizing Data - Processing による情報視覚化手法" Ben Fry 著
グラフィック用のプログラミング言語 "Processing"ってやつが、ずっと気になっていた。データをビジュアルに表現するのに、Ruby や Python、あるいは JavaScript や Gnuplot そして画像フォーマットなどを駆使し、ちと行き詰まり感が漂う今日このごろ。Graphviz もかじったりと... 本書でも触れられ、ちとうれしい!本書は、Processing...
View Article"Beautiful Testing" Tim Riley & Adam Goucher 編
テストにビューティフルとは、なんとも馴染みにくい形容である。開発工程において、最も泥臭く地道で根気のいる仕事。テストケース、おいらの周りでは検証リストと呼んでいるが、この膨大なリストと睨めっこしながら、実際にテストを実行していくのは思いっきり辛い!ちまちました項目を挙げていく眼力は、まるで姑チェック!おまけに、それで完全に網羅できたなんて、どこにも保証がないときた。とはいえ、テスト環境、おいらの周り...
View Article"アジャイルサムライ - 達人開発者への道" Jonathan Rasmusson 著
アジャイルサムライとは、なんとも日本風のタイトル...執筆当初は、"The Way of the Agile Warrior."であったとか。ジョナサン・ラスマセンは、技術屋魂に武士道精神を見たのか...尚、西村直人・角谷信太郎監訳、近藤修平・角掛拓未訳版(オーム社)を手に取る。「アジャイルサムライ......
View Article"単位と比 - わけのわかる算数のはなし"芹沢正三 著
これは、児童向けの書である。童心に返るのは難しい。ましてや脂ぎった大人には難しすぎる。唯一の頼みは、気まぐれってやつ。気まぐれは偉大だ。何一つ馬鹿にすることなく、まったく抵抗感なく、手に取ることができるのだから...なにゆえ人間は、モノを測ったり、数えたりするのか。それは性癖か、退屈病がそうさせるのか。この単純行為は、なにやら心を落ち着かせてくれる。精神病患者や知的障害者は、数を数えることによって気...
View Article"証拠" Dick Francis 著
同じミステリー作家では、スタンリイ・エリンが、人の心に潜む悪意やいたずらを非情なまでの皮肉ぶりで暴いて魅せた。まさに、人間の存在そのものがミステリーであることを...ディック・フランシスは、人が背負ってきたしがらみや生き様を、サスペンスに重ねて魅せる。ちと強引だけど... この強引さが、M...
View Article"興奮" Dick Francis 著
ディック・フランシスには、あまりサスペンスぽくないサスペンスにしてやられた(前記事「証拠」)。ここでは、これぞサスペンスというサスペンスにしてやられる。推理モノは危険だ!ハマると、つい一気読み。翌日はまず仕事にならない。まるで薬物!まさに興奮剤!本書は、興奮に薬を結びつけるドタバタ劇、まさに劇薬だ!と思ったら、薬とはまったく関係ない仕掛けが待ち受けていた...尚、菊池光訳版(ハヤカワ・ミステリ文庫)...
View Article"学問のすゝめ"福澤諭吉 著
時は幕末... 西洋列強国にことごとく不平等条約を結ばされ、自国で裁判する権利すら持ちえない。このままだと大陸同様、アジア全土が呑み込まれてしまう... そんな危機感から日本を真の独立国たらしめ、国民の精神改革を行おうと、その基礎に置いたのが天賦人権思想であったとさ。尚、伊藤正雄校注版(講談社学術文庫)を手に取る。「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず......
View Article"福翁自伝"福澤諭吉 著
自叙伝ってやつは、その人の生き様を容赦なく炙り出す。笑いを誘うような愚痴のオンパレードに、その人の人となりが露わとなり、革命家魂を垣間見る思い。「学問のすゝめ」に至った動機も十分に味わえる。尚、土橋俊一校訂・校注版(講談社学術文庫)を手に取る。動乱期を生きた人物の叙述にしては、どこか余裕を感じる。これが人間の度量というものか。例えば、維新前夜は辻斬りが横行し、武士だけでなく、町人や百姓までも怯えた様...
View Article"福翁百話"福澤諭吉 著
自伝もいいが、随筆はさらにいい。達人が書けば尚更。自由奔放に筆を振るうだけに、自分自身に言い聞かせている所もあろう。自省心がなければ、為せない技か。自伝は生きた時間の流れに乗り、随筆は気分の流れに乗る。独立自尊を謳歌するように...尚、服部禮次郎編集版(慶應義塾大学出版会)を手に取る。「自由は不自由の間に在りと云う。凡そ人生には自主自由の権あり、上は王公貴人、富豪大家より下は匹夫匹婦の貧賤に至るまで...
View Article"五輪書"宮本武蔵 著
どんな場面でも、なにかに対する時、観察力が問われる。兵法とは、それを体現する場。敵を知り己を知れば百戦危うからず!だが、兵法を学んでも、それを役立てるかどうかはその人次第。それは、すべての知識について言えること。自然科学もまた、観察哲学を体現する場と言えよう。さて、無の境地に達した剣聖の書とは、いかなるものか。一旦、刀を抜けば、相手を殺すしかない。それが剣術の道。「五輪書」とは、あまりに殺伐とした世...
View Article"いまだない世界を求めて" Rodolphe Gasché 著
原題 "In View of a World"...これを「いまだない世界」とするのは、これから来たるべき......
View Article"芸術作品の根源" Martin Heidegger 著
ハイデッガーが生きた時代は、二つの大戦を経て、ナチスの高官どもがヨーロッパ中の美術品を漁りまくった時代。もはや芸術は死んじまった!との愚痴が聞こえてきそうな芸術論に出くわす。芸術に自由精神は欠かせない。だが、束縛の反発として自由精神が生起することだってある。芸術の根源を探求すれば、芸術そのものの在り方を問い、その本質に立ち向かうことになる。本質に立ち向かえば、真理を問うことに...ここでは「真理の生...
View Article"エフォートレス思考" Greg McKeown 著
本書は、「エッセンシャル思考」の続編。前編では、何をやるかを伝授してくれた。ここでは、どうやるか、その事例を紹介してくれる。コンセプトは、「努力を最小化して成果を最大化!」。極力無駄を省こうというわけだが、現実は厳しい。あまり無駄をなくすことに執着するのもどうであろう。極論を言えば、生きていること自体が無駄、人類の存在そのものが無駄という見方もできる。また、物事は、あまり単純でもつまらない。難問に立...
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