"過激にして愛嬌あり -「滑稽新聞」と宮武外骨"吉野孝雄 著
型破りな人間!とは、こういう人を言うのであろう。外骨というペンネームからして世間をなめてんのか。いや、どうやら本名らしい。ほんでもって、トンチ絵図で明治天皇を骸骨になぞらえ、大日本帝国憲法に擬した「頓智研法」なんて出版した日にゃ... 牢獄行き!おまけに、クソで書いた「法律」という文字で、今にも臭ってきそうな「糞法」をお見舞いする。そして、敢えて問う、役人か悪人か......
View Article"シュルレアリスム宣言・溶ける魚" André Breton 著
シュルレアリスムって、なんぞや?それは現実か、幻想か。アンドレ・ブルトンは、こう定義する。「シュルレアリスム。男性名詞。心の純粋な自動現象(オートマティスム)であり、それにもとづいて口述、記述、その他あらゆる方法を用いつつ、思考の実際上の働きを表現しようとくわだてる。理性によって行使されるどんな統制もなく、美学上ないし道徳上のどんな気づかいからもはなれた思考の書きとり。」尚、本書には、自動記述による...
View Article"LIFE SHIFT - 100年時代の人生戦略" Lynda Gratton & Andrew Scott 著
時間という物理量が、誰にでも平等に与えられているかは知らん。が、人生が長くなれば、それだけ考える時間も長くなる。鼓動や脳波の周波数に個人差があれば、時間の速さや感じ方も違うであろう。夭逝した偉人たちは、素早く時代を駆け抜けていった。天才とは、早世するものなのか。あまりに研ぎ澄まされた才能ゆえに、自ら寿命を縮めてしまうのか...長く生きれば、それだけ充実した人生が送れるわけではない。いや、むしろ苦悩を...
View Article"自助論" Samuel Smiles 著
神様は冷てぇや。実に冷てぇや。言葉が欲しい時にいつも沈黙し、肝心な時にきまってお留守なさる。神様は臆病者が嫌いと見える。自分の意志で動こうとしないヤツが大っ嫌いと見える。おいらは神様が嫌いだ。バチ当てやがるから...「天は自ら助くる者を助く」保護や援助の度が過ぎると、人を無気力にさせ、自立心までも萎えさせる。政府が打ち出す支援策がしばしば失敗するのは、そのためか。そればかりか悪用される始末。一番の良...
View Article"向上心" Samuel Smiles 著
天は自ら助くる者を助く... と説く「自助論」に触発され(前記事)、サミュエル・スマイルズをもう一冊。人の一生とは、その人がつくり上げた思想の世界に他ならないという。そうした世界を持つことが、人生を楽しむってことであろうか...尚、竹内均訳版(三笠書房)を手に取る。「気高い思想を伴侶とすれば、人はけっして孤独ではない。」......
View Article"饒舌について 他五篇"プルタルコス 著
プルタルコスといえば、その大作に「対比列伝」がある。ToDo リストにずっと居座ってるヤツの一つ。ちょうど、澤田謙の編纂版「プリューターク英雄伝」でお茶を濁したところ(前記事)。だが実は、「モラリア(倫理論集)」ってヤツもある。邦訳版で全 14 巻にも及ぶ大作で、エッセーの起源ともされるそうな。ついでに、こいつもお茶を濁すとしよう。だからといって、どちらも ToDo...
View Article"ビッグ・クエスチョン" Stephen W. Hawking
Big Question !古来、自然科学には、神託めいた究極の問い掛けがある。宇宙はいかにして誕生したのか?人類とは何者か?そして、どこから来、どこへ行くのか?それは、自らの存在に意味を求めてきた旅、いや、解釈をめぐる旅である。車椅子の宇宙物理学者スティーヴン・ホーキングは、10...
View Articleリンゴの力学... 存在の重さは何グラム?
なぁ~に、四月馬鹿のたわごとよ...リンゴを食すは、邪心の表れか...ある説によると、アダムとイブが口にした禁断の果実はリンゴであったとか。真相は知らんが、どうやら旧約聖書の翻訳時に生じた解釈のようだ。つまり、禁断の... を表すラテン語の...
View Article"代数方程式とガロア理論"中島匠一 著
群、環、体をめぐる旅。それは、線型空間をさまよう旅。そこにどんな御利益があるというのか。それを味わうには資格がいるらしい。ガロア理論に辿り着いたという資格が...それでも、我武者羅にやっているうちに、薄っすらと見えてくる... ってこともある。御利益とまではいかなくとも、考え方だけでも味わえれば......
View Article"方程式のガロア群"金重明 著
群、環、体を巡り、線型空間をさまよう。すると、いつしか初心に返る。そういえば学生時代、ブルーバックス教(狂)にのめり込んだものだ。それは、自然科学や科学技術の一般読者向けシリーズ。相対論も、量子論も、マクスウェルの悪魔も、ラプラスの悪魔も、ここに始まった。ガロア群では逆流する格好だが、相手が難攻不落となれば、思考パターンの原点に立ち返ってみるのも悪くない...数学界に大変革をもたらしたエヴァリスト・...
View Article"コミュニケーションとコンピュテーション"稲垣康善 著
本書は、情報通信と計算技術を支える理論についての教科書である。教科書であるからには、今更感は否めない。しかしながら、初心に返る意味でも、教科書的な存在は意外と大きい。なにやら忘れかけたものを思い出させてくれるような...コンピュータ工学における情報と計算は、物理学における物質やエネルギーと同様、基礎概念として君臨している。それぞれの歴史を紐解けば、クロード・シャノンは情報の内容を問わず、ひたすら情報...
View Article"MIND パフォーマンス HACKS - 脳と心のユーザーマニュアル" Ron Hale-Evans 著
本書の位置づけは、そのタイトルからして Tom Stafford と Matt Webb の共著 "MIND HACKS"の続編といったところ。"MIND HACKS"に出会ったのは三年ほど前、コンピュータ認知神経科学者を自称する Tom Stafford に、テクノロジーと物理学に関して仕事と趣味の両面で躍動する Matt Webb...
View Article"音楽は絶望に寄り添う - ショスタコーヴィチはなぜ人の心を救うのか" Stephen Johnson 著
「音楽なしでは人生を誤る。」... フリードリヒ・ニーチェショスタコーヴィチには救われる。BGM...
View Article"世界をつくった 6 つの革命の物語 - 新・人類進化史" Steven Johnson 著
よく見かける世界史では、四大文明の出現、三大宗教の確立、ローマ帝国の興亡、大航海時代、フランス革命、産業革命、二つの世界大戦といった事象が主題とされる。しかしここでは、ガラス、冷却、録音、清潔な水、機械仕掛けの時計、電球の光といった発明を切り口に世界史を物語ってくれる。歴史を学べば、英雄伝や重大事件とされる事象に注目しがちだが、真に歴史を育み、真に文明を開花させてきたのは、名も無い人々が日常生活で営...
View Article"世界が動いた「決断」の物語 - 新・人類進化史" Steven Johnson 著
熟考というのは、人類特有の行為であろうか...長期的な視野に立てるというのは、進化の過程でホモ・サピエンスだけが習得した能力であろうか。そこが、人間の人間足る所以やもしれん...だが、三千年記が幕を開けても尚、現代人は近視眼的な判断に振り回される。どんなに経験を積み、どんなに情報を集めても、動物の本能には逆らえない。そこが、人間の人間足る所以やもしれん...「自然は人間を二人の独立した主人の支配下に...
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