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Channel: アル中ハイマーの独り言
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"生の短さについて 他二篇"セネカ 著

前記事では、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの自省自戒の態度に魅せられた。彼に強く影響を与えたストア派哲学にも触れてみたい。とはいえ、あまり良い印象を持っていない。物理学や論理学を倫理学の中に押し込み、頭でっかちな道徳観念を押し付ける、いわば宗教の臭いがするからだ。しかし、酔っ払いの偏見かもしれない。実際、アウレリウスの唱えた不動心は、セネカあたりから発しているようである。セネカという人物を知ったの...

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"怒りについて 他二篇"セネカ 著

セネカをもう一冊...本書には、「摂理について」、「賢者の恒心について」、「怒りについて」の三篇が収録される。その流れは、まず、自然の摂理によって生じる災難を試練と捉えた運命論を語り、次に、人間社会で受ける不正や侮辱に対抗する恒心を語り、最後に、最も心を乱す怒りの情念に対処する方法論を語る。徳(とく)がちょいと濁ると、毒(どく)となる。道徳(どうとく)を盲目(もうもく)に崇めれば、猛毒(もうどく)と...

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"ムッシュー・テスト" Paul Valéry 著

ポール・ヴァレリーといえば、小説家というより評論作家という印象がある。いつも知性溢れる評論振りに魅了され、おかげでポーの「ユリイカ」やパスカルの「パンセ」にも出会うことができた。彼が評論した作品にはすべて触れてみたい!と願っているのだが、なかなか...さて、「ムッシュー・テスト」は、ヴァレリーの残したただ一冊の小説集だそうな。ごく短い数篇の小説と断章群とから成り、その一つ「ムッシュー・テストと劇場で...

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"エウパリノス・魂と舞踏・樹についての対話" Paul Valéry 著

ヴァレリーが、プラトン風の対話篇を書いているとは知らなんだ。本書に収録される三作品は、彼の最も美しいとされる対話篇だそうな。文学作品への想いが自然な物理現象として現れると、もはや余計な知識はいらない。文章の流れとは、川の流れのごときものであったか...しかしながら、あらゆる物理現象は、観測することによって認識される。人間の認識能力では、観測系の介在なしに物理系を構築することができないのだ。人間が認識...

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"精神分析学入門(I/II)" Sigmund Freud 著

精神科医ジークムント・フロイトは、第一次大戦下でシェルショックが社会問題となった時代を生きた。現在では、戦闘ストレス反応(combat stress...

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"ヒトはなぜ戦争をするのか?" Albert Einstein, Sigmund Freud 共著

この組み合わせに目を疑った......

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"モーツァルト = 二つの顔"礒山雅 著

モーツァルト論には、小林秀雄の有名な「ト短調」をキーワードにしたものがあるそうな。対して本書は、「ト長調が綴る飛翔のイメージ」こそが、モーツァルトの真髄であると主張する。だからといって、ト短調論に対してト長調論をもって反駁しようなどという意図はないようである。モーツァルトの生きた時代は、音楽史上、最も長調が優勢であったという。その背景には、進歩を奉じて幸福を追求する啓蒙思想があり、積極的な社会風潮が...

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"バロック音楽名曲鑑賞事典"礒山雅 著

二十年前はモーツァルト以降にしか興味がなかったが、ここ数年はバロック音楽ばかり。だが、バッハ以前となると、あまり知らない。そんな初心者のために、西洋音楽史の専門家が百曲を厳選してくれる。話題が豊富でまったりとしながら、それでいてしつこくない。BGMを聴きながら本を読むことはよくあるが、本の方がバックグランドを演じてくれるのも悪くない。BGMには微妙な存在感が要求される。インパクトがありすぎても、感動...

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大きな愛... 小さな気持ち...

I1オクターブ低い声で... 君に酔ってんだよ!(小さな気持ち = 手抜き記事)Copyright(C) 2014年4月1日限定 "ピロートークに翻弄される男" All Rights...

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"訣別 ゴールドマン・サックス" Greg Smith 著

... 麻雀教室をやるんだ。そこらの闇市のおっさんたちに麻雀の面白さを教える。カモ教育だ。今までの博奕打ちは、猟師が海で魚捕るみてぇにボッタクるばかりで、客の養成をしなかった。だからカモがどんどんいなくなる。百姓みてぇに、種を蒔いて、育てて、それを戴くようにするんだ。......

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"新賢明なる投資家(上/下)" Benjamin Graham, Jason Zweig 共著

この書に出会ったのは十年ぐらい前になろうか。いま読み返すと、いっそう輝きを増してやがる。泥酔投資家にとっての自戒の書だ。ベンジャミン・グレアムは、投資と投機の違いを明確にし、バリュー投資理論を確立した。「賢明なる投資家」の初版は1949年に遡るが、改版を重ね、今日もなお読み継がれている。市場理論は、あまり進化していないということか。進化したのは、価値を歪ませる技術と、その上に乗っかるサヤ取り技術の方...

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"功利主義論集" John Stuart Mill 著

功利主義という用語は、掴みどころがなく手強い。古くから道徳哲学を信奉する人々に批判されてきたのも、ジェレミ・ベンサムの唱えた最大幸福原理が、快楽の総和として計算されるからである。いわば、GDPのような経済指数として。現在でも、経済人の価値観に偏っていると叩かれる一方で、その批判者たちもまた客観性を欠くと反撃を食らう。この用語を曖昧にしているのは、正義と幸福の観念を支柱にしているからであろう。人間社会...

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"政治論集" David Hume 著

啓蒙時代の哲学書に触れると、デイヴィッド・ヒュームの名をよく見かける。彼の主著「人間本性論」はなかなか手強そうだ。入門書として「政治論集」と呼ばれるエッセイ集で、お茶を濁してみよう...ヒュームの立場は、共和主義的な自由主義に立脚している点ではありふれた思想にも映る。ただ注目したいのは、アダム・スミスに先んじて経済原理から自由主義を唱えている点である。古典的な共和主義では、宗教的な道徳感情に支配され...

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AL-Mail とお別れ... 秀丸君よろしく!

GW連休をきっかけに、ようやく踏ん切りがついた。二十年近く付き合ってきた AL-Mail とお別れすることを。今頃なにをやってんだか......

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"宇宙創成(上/下)" Simon Singh 著

人類の知りたいという執念には驚くべきものがある。それは、自分自身を知るための旅だ。どこから来て、どこへ行くのか?これを問い続け、自己の棲家である宇宙の正体を知らずにはいられない。つまり、人類は自分が何者かも知らない。己を知る欲望こそ、科学の原動力である。古来、哲学者たちが夢見たことは、その数千年後、ポアンカレの語ったこの言葉で言い尽くされていよう。「科学者が自然を研究するのは、それが役に立つからでは...

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"ワープする宇宙" Lisa Randall 著

猛省す!女性の物理学者というと、ちと懐疑的であった。知らず知らず偏見があったことに気づかされる。600ペーン超の分厚い重みは、物理学への熱い思いの顕れ。初心者にも配慮しながら数式を徹底的に排除する一方で、深い見識と文才を魅せつける。真理の探求に、理系やら、文系やら、といった枠組みになんの意味があろうか?と問うかのように...古来、人類は重力の問題に悩まされてきた。自己存在をこれほど強烈に意識させる物...

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"銀河の世界" Edwin Powell Hubble 著

物理学を支えてきた研究者には、二つの相補的な資質がある。それは、理論派と観測派(実験派)だ。科学文献では、理論が主役で観測データは付録のように静かに掲載されるのが、一般的であろうか。エドウィン・ハッブルは自ら観測派に属すと語り、少々悔しさを滲ませる。しかしながら、双方の資質を厳密に区別することは難しい。理論的な推測なくして、適格な観測は成し得ないのだから。実際、ハッブルは観測による標本収集というアプ...

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"不思議宇宙のトムキンス" George Gamow, Russell Stannard 著

懐かしやトムキンス!物理学を専攻した者で、トムキンス冒険物語の存在を知らぬ者はいないだろう。たとえ読んだことがなくても......

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"解読! アルキメデス写本" William Noel & Reviel Netz 著

TED.comを散歩していると、ウィリアム・ノエルという人物の講演を見かけた。それは、アルキメデスの写本に関するもの。アルキメデスの偉大な著作群は辛うじて三つの写本によって伝えられ、学術的に、A写本、B写本、C写本と呼ばれる。A写本とB写本は、ダ・ヴィンチやガリレオといったルネサンス時代の巨匠たちの目にも触れたようである。しかし、この二冊は姿を消した。B写本は、1311年ローマ北のヴィテルボ市の教皇...

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"天秤の魔術師 アルキメデスの数学 "林栄治, 斎藤憲 著

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